第3回投票は日本国籍の市民だけ 「世の中と逆の流れ」の声も
大阪都構想には賛同するが、住民投票では白票を投じる――。そう公言する有権者がいる。
大阪市西成区在住の龍谷大経営学部教授、李洙任(リスイム)さん(67)。在日コリアン3世で、2001年に日本国籍を取得。外国人施策を提言する大阪府・市の委員を歴任した経験から「二重行政」の弊害の解消やスリム化は必要だと考えてきた。
「ダブルスタンダード」
転機は2月、住民投票への外国籍住民の参加をめぐり、大阪市の松井一郎市長が改めて「(日本)国籍を取得して参加してもらいたい」と発言したことだ。11月1日に投開票される住民投票の有権者は、日本国籍を有する大阪市民。外国籍市民は投票できない。
「大阪の成長の柱をインバウンド(訪日外国人客)の増加としながら、街の将来を決める住民投票から外国籍住民を排除するのはダブルスタンダードだ」
親の国籍に関係なく、生まれた子には自動的に国籍を与える「出生地主義」の米国で結婚・出産した経験から「国籍は人為的に作られた枠組み」と考えている。ただ、日本が朝鮮半島を植民地支配した歴史や「先祖と切り離される」との思いから、在日コリアンに日本国籍取得への抵抗感があることも理解する。
「住民投票に国籍取得を求めるのは、踏み絵を踏ませるようなもの。投票結果の正統性が問われる」
投票所に行った感動、今も心に
大阪市の市民団体「国民投票/住民投票情報室」の調査によると、02年以降、条例に基づき実施された住民投票では、永住外国人の投票を認めた事例が少なくとも206件あった。
今回の住民投票で外国籍市民が投票できないのには、ある法規定が関係しています。詳しくは記事の後半でお伝えします。
「まちへの愛着と住民としての責任を感じた」
04年、隣の岸和田市との合併を巡る大阪府忠岡町の住民投票で一票を投じた在日コリアン2世の成愛子さん(79)は、生まれて初めて投票所に行った感動が今も忘れられないという。
「それから16年。大阪市の…
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