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 新型コロナウイルスの治療薬として日本で特例承認され、米トランプ大統領も使っていた抗ウイルス薬の「レムデシビル」について、世界保健機関(WHO)は15日、「死亡率を改善する効果はほとんどない」という暫定結果を発表した。

 WHOは、既存薬が新型コロナに効くかどうかを試す「連帯治験」という国際協力の枠組みを使って調べた。30カ国の405の病院で計1万1266人の成人が無作為に選ばれ、薬を使う人と、使わない人の死亡率の違いを見た。その結果、レムデシビルについては死亡率改善や入院期間短縮に、「ほとんど効果がない」とした。

 レムデシビルはエボラ出血熱の治療薬を目指して開発され、日本では5月にコロナ初の治療薬として「特例」として認められた。

 WHOはこのほか、抗マラリア薬の「ヒドロキシクロロキン」とエイズ治療に使われる「ロピナビル」と「リトナビル」、抗ウイルス薬の「インターフェロン」についても、ほとんど効果が無いか、全く効果がないとした。

 ただし、この結果は暫定的なもので、査読を受けて論文として発表される前のものだ。

NIHは違う見解

 一方で、レムデシビルについては今月8日、米国立保健研究所(NIH)などの研究グループが10カ国での試験にもとづき、患者の回復期間が短くなるという論文を、世界でもっとも権威ある医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に発表した。

 新型コロナにより入院した計1062人に、レムデシビルと偽薬を使って効果を比較した。レムデシビルを使った患者がある程度回復するまでにかかった期間は、中央値で10日であり、偽薬の患者よりも5日短かった。研究グループは「患者の回復期間を短縮する点で優れていることを示せた」と結論づけた。

 ヒドロキシクロロキンについては、WHOと同様、米コロンビア大などの研究グループが、死亡率を改善する効果はないとする論文を8日のNEJMに掲載した。

 この薬をめぐっては、米食品医薬品局(FDA)が「使った患者の一部に心拍の異常がみられる」などとして、3月に出していた緊急使用許可を、6月に撤回した。しかしその後もトランプ大統領は「有効だ」と主張し薬を飲んでいることを公言するなど、波紋を呼んでいた。(ウィーン=松井健、戸田政考)