豪雨から助けてくれたお堂 再建につなげた偶然のご縁

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渡辺純子
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 3年前の九州北部豪雨でお堂ごと流された福岡県朝倉市の仏像が、新たによみがえった。お堂のおかげで助かったと信じる住民と支援者が、偶然のタイミングでつながった。

 木目の残る小さな仏像が2体、福岡市の九州大芸術工学研究院の一室にある。1体はハスの葉、1体は水がめを持つ。「水害から人々を守ってほしい」という祈りを込めて、彫刻家の知足(ともたり)美加子教授(55)が彫り上げた。朝倉市杷木寒水(はきそうず)の塚本潔子さん(72)は「自分たちで何とかせなと思っていた。ありがたいです」としみじみ話した。

 朝倉を豪雨が襲った2017年7月5日夕。降りしきる雨の中、塚本さんが家に水が入らないよう、夫と庭で作業していると、突然濁流が押し寄せた。夫は流された。「2階に逃げて」と隣の人が叫ぶ。庭の小屋の小窓をガソリン缶でたたき割り、よじ登って2階に逃げ込んだ。

 前の道路は川のようだった。大きな岩が転がってきて、なぜか家の前で止まった。そこに流木が次々に引っかかり、小屋にも突き刺さった。「私も死ぬんだ」

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 その時、外に白い人影が見え…

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