GAFA(ガーファ)と呼ばれる巨大IT企業による独占の弊害を調査してきた米下院司法委員会は6日、報告書を発表し、事業分割などを含む提言を打ち出した。米国は1980年代以降、緩い規制で企業の巨大化を許してきたが、議会の動きが規制当局などにも影響を与えるのは確実で、巨大ITを取り巻く環境は歴史的転機を迎えつつある。

 「勝ち目はなくても向こう気だけは強かったスタートアップ企業が、石油王や鉄道王が支配した時代のような独占を得てしまった」。6日の報告書で、民主党のナドラー下院司法委員長らはそう強調した。

 反トラスト(独占禁止)小委員会は昨年6月、調査を開始。今年7月にはGAFA4社のトップに証言させる公聴会も開き、厳しい姿勢をアピールしてきた。

 下院で多数派を占める民主党がまとめた450ページの報告書は、GAFAが1998年以降計500社以上もの企業買収を重ね、当局も承認したと指摘。自らのプラットフォームでの「強大で永続的な支配力」を乱用して、ビジネスを優位に進めてきたと指摘した。

 また、反トラスト法を厳格に適用するための法改正や規制当局の権限強化を主張。事業分割も視野に、自らのプラットフォームで他の事業者と競合するビジネスに携わるのを禁じる「構造的な分離」も促した。

 グーグルやフェイスブック(FB)のサービスには、親しい人が使っている、乗り換えが面倒、といった理由から使い続けようとする動機が強く働く。このため、消費者が電子メールなど自らのデータを別のプラットフォームに移しやすくする措置も求めた。

 米国では80年代以降、規制緩和の流れを受けて企業の巨大化には寛容で、学界や司法の判断もそれを強く後押しした。だが、今回の動きは競争政策の転機となりそうだ。報告書に法的拘束力はないが、11月3日の大統領選や議会選で、民主党が大統領や上下院の多数党を占める状況になれば、報告書に沿って立法措置が進む可能性もひらける。

 米メディアは、検索やオンライン広告での競争阻害の疑いがあるグーグルに対し、米司法省が近く反トラスト提訴に踏み切ると報じている。大統領選前の成果づくりを急ぎたいトランプ氏の意向や健康状態にも左右されるが、提訴となれば、90年代の米マイクロソフト提訴以来の大型案件となる。

 小委員会の共和党議員は事業分…

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