耳かきも肩たたきも売る 「堅物」で攻めるローカル鉄道

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臼井昭仁
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 イチローのバットを手がけた職人が作る耳かきも完売したし、ハローキティをあしらった記念切符も大人気だった。三重、岐阜県境を走る養老鉄道(岐阜県大垣市)は、記念グッズの豊富さで話題を振りまくローカル鉄道だ。しかし、少子高齢化にコロナ禍が追い打ちをかけ、全国の多くのローカル鉄道と同様、苦境に立たされている。起死回生に向けた次の一手を田野雄紀夫社長に聞きました。

養老鉄道は桑名(三重県桑名市)~揖斐(岐阜県揖斐川町)間の57.5㌔を走る。1919(大正8)年に全線開業。近鉄養老線を経て2007年に近鉄子会社に。18年から「公有民営方式」となり線路などは沿線7市町でつくる機構が保有、運行は養老鉄道が担っている。19年度の乗降客は616万7千人。

 ――開業百周年の昨年度、「100の企画」で話題となりました。

 「様々なイベントを開き、記念グッズを販売しましたが効果は絶大でした。例えばハローキティのラッピング電車。大人1枚1500円の記念切符は2957枚売れました。東京や大阪からも乗りに来てくれました。元米大リーガー・イチローさんのバットを手がけたことで有名な「現代の名工」久保田五十一(いそかず)氏に竹で作ってもらった1本5千円の耳かきは、100本が即日完売しました。輸送人員は昨年4月以降、毎月前年比2%増を記録しました」

耳かき100本即日完売

 ――しかしコロナが直撃です。

 「今年3月は一気に同40%減。今も前年比で3割減となっています。計画していたイベントは開けず、旅行者を呼べないばかりか地元の人も利用を控え、しかも移動に車を使うようになっているようです。一方で車両、施設への抗菌、抗ウイルスの対策は欠かせず、費用がかさんでいます。イベント列車は再開させたいのですが、今はまだ難しいと思っています」

 ――経営形態が2018年1月から、「公有民営方式」に移った矢先でもあります。

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 「養老鉄道は、沿線7市町に…

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