もろい「学問の自由」 歴史の反省、軽んじた政治の介入

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編集委員・豊秀一
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 日本学術会議の会員になれなくても自由に研究は続けられるのだから、「学問の自由」と関係ないのではないか、という声を聞くことがある。本当にそういえるのだろうか。

 憲法23条は「学問の自由は、これを保障する」と定めている。では、ここで何が保障されているのか。憲法学者の間の一般的な理解では、①学問研究の自由②研究成果を発表する自由③研究結果を教える自由――の主に三つが挙げられる。

 日本国憲法には「表現の自由」(21条)や「思想・良心の自由」(19条)があるが、それに加えて23条も作って学問の自由を守ろうとしたのは、政治が学問に介入したり、干渉したりすることを防ぐためだった。

 真理を探究しようとする学問は、社会の既成の考えを疑い、新たな発見をしていく作業でもある。社会の多数派の価値観とぶつかったり、政権の政策を批判したりすることはしばしばある。政治や社会から学説が痛烈に批判を浴びることは世界中で経験してきたことだ。戦前の日本の歴史を振り返ると、政府が何が正しい学説かを決め、それに反する説を唱えた学者が排斥される事件が起きている。

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 23条はこうした内外の歴史…

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