第8回「米国よ見捨てないで」 ディールに翻弄されるアフガン

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 米国は各地で軍事介入を繰り返し、長く「世界の警察官」を演じてきた。その役回りを返上して、米軍撤退を進めるのがトランプ大統領だ。「米国史上最も長い戦争」が続くアフガニスタンも例外ではない。米兵を帰還させ、戦費を浮かし、自身の再選につなげる狙いだが、現地では「見捨てないで」との声が上がる。

 9月9日朝、アフガニスタンのサーレ副大統領の車が、首都カブール中心部の路地に差し掛かった時だ。路肩に仕掛けられた爆弾が炸裂(さくれつ)した。爆風は路面をえぐり、周囲のブロック塀をなぎ倒した。

 防爆仕様の車体はひしゃげ、後部座席の副大統領は左腕を負傷。たまたま近くを通りかかった市民ら10人が犠牲になった。アフガン当局は爆発物の成分分析などから、反政府勢力タリバーンの強硬派による犯行と判断した。

 ところが、翌日に米ワシントンで記者会見したトランプ氏の認識は大きく違った。トランプ氏は「タリバーンと良好な関係が続いている」とし、このところ「(米兵は)一人も殺されていないし、問題は起きていない」と強調した。

 米国にとってタリバーンは、19年戦ってきた敵だ。その敵をかばうような発言をトランプ氏がするのは、現地の治安が保たれているような印象を作り、米軍撤退を加速させる狙いがあるからだ。

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 トランプ氏はさらに、約1万…

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