第17回代表より、今は個の力磨くとき ホッケーさくらジャパン
「早く試合がやりたくて、ずっと楽しみにしていた」。ホッケー女子日本代表「さくらジャパン」のエース、FW清水美並(27)はそう言った。9月26日、5カ月遅れで開幕した日本リーグ。新型コロナウイルスの影響で、今年初めての公式戦だった。
所属するソニーHCは史上初の6連覇を狙う強豪で、東海学院大を4―0で一蹴。ただ、清水は自身が無得点に終わったことを反省し、続けた。「今は代表のことより、ソニーで個人のレベルをどんどん上げていきたいと思っている」
予定通り開催されていれば、上り調子で迎える東京オリンピック(五輪)のはずだった。2017年に豪州出身のファリー監督が就任。前線から連動した守備で球を奪い、逆襲からゴールを狙うスタイルが浸透した。18年のワールドカップは1次リーグで敗退したものの強豪ニュージーランドに勝利。その年のアジア大会で初優勝した。
躍進の要因が組織力。その精度を高める場が合宿や海外遠征だった。五輪延期が決まった3月24日も東京で合宿中だった。3日後にチームは解散。その後は8月に1度、岐阜県で数日間の合宿を行えただけ。国際大会は軒並み中止になり、年内の活動は白紙のままだ。
悩ましい状態は、前向きにとらえれば、これまで時間を割けなかった個のレベルアップに選手が向き合えるとも言える。
ソニーには清水のほか、FW友理(28)、MF葉月(26)の永井姉妹ら日本代表の中軸が多数そろうが、代表チームとは戦い方が違う。今はソニーの戦術をこなしつつ、自分の体と向き合うことに主眼を置いている。自粛期間も含め、体幹トレーニングや走り込みを増やし、「走力は上がってきていると思う」と清水。日本リーグでのプレーを見る限り、突破力やスピードは確実に増している印象だ。
日本ホッケー協会の安西浩哉・強化本部長も割り切っている。「しばらくはリーグ戦などに集中してもらいたい」。そうやって選手それぞれが磨いた個の技術やフィジカルを代表に持ち込めば、さくらジャパンの組織力も、もう1段、2段と上がっていくかもしれない。
選手や関係者が描く強化の青写真だ。(勝見壮史)
ホッケー女子の現在地
来夏の東京五輪で、日本は開催国枠で5大会連続の出場が決まっている。12チームが2組に分かれて1次リーグを戦い、B組の日本は中国、ニュージーランド、豪州、アルゼンチン、スペインと対戦。各組上位4チームが準々決勝へ進む。
気持ちを整理した1週間の完全オフ
男女のホッケー日本代表にと…
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