マジョリカタイル 戦前の金型を初公開 多治見

戸村登
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 イギリスの装飾タイルを模して作られ、戦前、インドに盛んに輸出された「マジョリカタイル」の金型が見つかり、岐阜県多治見市笠原町の多治見市モザイクタイルミュージアムで公開されている。1970年ごろまでタイルを製造していた会社創業者の親族が保管していた。来年1月11日まで。

 インドに輸出されたタイルの金型が見つかったのは今回が初めてという。

 企画展「世界へ羽ばたいた和製マジョリカタイル 金型の精緻(せいち)・精巧美の世界」で公開される金型は14点。ヒンドゥー教の神々がモチーフの真鍮(しんちゅう)製で、名古屋市のタイルメーカー広正(ひろしょう)製陶の創業者の次男で、工場長だった故半谷(はんや)孝氏が保管していた。家族も存在を知らなかったという。

 タイルについての著作があり、展示を企画した加藤郁美さん=東京都杉並区=は、取材を通じて知り合った半谷さんから2018年9月に金型の存在を打ち明けられ、多治見市モザイクタイルミュージアムを紹介した。半谷さんは昨年3月に保管していた63点をミュージアムに寄託し、12月に93歳で亡くなった。

 今回の展示は半谷さんからの受託を記念したもの。6枚組みや9枚組みで1枚の絵を表すタイル画の金型のほか、近畿大学国際学部の豊山亜紀准教授(インド美術史)が撮影した、金型と絵柄が一致したタイルの写真も展示されている。

 学芸員の村山閑(のどか)さんは「金型が国内で見つかったことで、日本からインドにタイルを輸出していた証拠となる。和製マジョリカタイルの生産のあり方をたどることができるようになった」と話している。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、土、日、祝日の入館は、電話(0572・43・5101)か、HPで事前の予約が必要。(戸村登)

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