第12回サラダは嫌だ、ステーキだ 大統領選で動く福音派の正体

有料記事そこが気になるアメリカ大統領選

荒ちひろ
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 アメリカの大統領選挙に関するニュースでたびたび登場するのが、「キリスト教福音派」という言葉です。アメリカの全人口の約4分の1を占めるとされ、共和党の支持基盤として知られています。前回2016年の大統領選の出口調査によると、白人の福音派の81%がトランプ氏に投票し、トランプ大統領誕生の原動力となりました。8月以降、中東イスラエルとアラブ諸国との関係正常化が相次いでいる背景には、トランプ氏が選挙対策として、親イスラエルである福音派にアピールしようとしているとの事情もあります。「福音派」とはどんな人たちなのか。アメリカのキリスト教史に詳しい森本あんり・国際基督教大学教授に聞きました。

 ――そもそも「福音派」とは、どういう意味でしょうか。

 大前提として、元々は16世紀のヨーロッパの宗教改革で、ローマ・カトリックに対抗して誕生したプロテスタントのことを指します。言語や文脈によってプロテスタント内部の特定宗派を指す言葉にもなります。

 現在の英語で言う「福音派(エバンジェリカルズ)」が何かと聞かれたら、信仰内容で言えば「聖書の言葉を絶対的な真理と受け止め、一字一句を大事にする人々」でしょうか。宗派で言えば、プロテスタントの中で長老派や聖公会、ルター派など、昔からあるいくつかの「主流派(メインライン)」以外の諸派を指します。

 ――具体的にはどのような人々ですか。

 わかりやすく言うと、いわゆる都市部ではないところ、つまり地方や田舎の、中絶や同性愛に反対する保守層、というイメージでだいたいあっています。ただ、信仰的な部分は変わらない一方で、福音派がめざす方向は、時代によって変わってきました。鍵となるのは、「脅かされている」という意識です。

 ――何に「脅かされている」のでしょうか?

 まずは、「福音派」という言葉が登場した背景に触れましょう。

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 現代的な意味での「福音派(…

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