第2回「トランプは本物のファイター」 忠実な共和党員の変心

連載「トランプ王国 あれから4年」

前回のアメリカ大統領選ではトランプを熱心に支持した人もいれば、迷った末に投票した人もいた。あれから4年。かつてトランプに1票を投じた人に聞いてみた。今年も彼を支持するのですか? トランプ支持者の声から現代アメリカの姿に迫る連載の2回目。

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 トランプが大統領になれば「カナダ移住を考える」と4年前に言っていた共和党支持の男性はどうしているだろうか。久しぶりに彼の携帯電話にかけてみよう。

 2016年5月11日の朝日新聞に次の記事が載った(意味が通じるように一部加筆しています)。

 

  「我々は本日、トランプ病の蔓延(まんえん)で死亡した、かつて偉大だった共和党を追悼するためにここへ集まった」――。トランプ氏の地元のタブロイド紙「ニューヨーク・デイリー・ニューズ」は4日、党のシンボルの象が棺に横たわる漫画とともに、そんな「共和党の訃報(ふほう)」を1面に掲載した。

 ライバル候補が相次いで撤退を表明し、トランプ氏の指名獲得が確実となったことで、党は大混乱に陥っている。

 3日夜、インディアナ州予備選で敗北した上院議員テッド・クルーズ氏が撤退を表明すると、会場から悲鳴が上がった。会場にいた会社員ブライアン・アダムスさん(52)は「私は共和党員だが、トランプ氏には投票できない。本選挙は棄権し、彼が大統領になれば海外移住を考える」と語った。(引用ここまで)

 

 そう、今回電話をかけようと思い立ったのは、記事の最後に登場したブライアンだ。彼とはその年の5月3日にラストベルトの一角、インディアナ州で出会った。当時、同じ年の2月に始まった共和党の候補者選びが最終盤を迎えていた。この日、首位を走るトランプが同州でも勝利したことで、2位で追っていたクルーズの去就に全米の注目が集まった。

 夜、ブライアンと私はクルーズ陣営の集会場で、クルーズ本人の到着を待っていた。数時間後、クルーズが家族とともにステージ上に現れ、私たちの目の前で予備選からの撤退を表明した。会場からは悲鳴があがった。「ありえない」とされてきたトランプが、共和党の指名候補になることがほぼ確実となった瞬間だった。

ここから続き

 冒頭の記事で紹介したタブロ…

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