社会の役に立たないという価値 角幡唯介さん語る探検論

有料記事コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

聞き手・中島鉄郎
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 日本でコロナ感染が広がっていた春先、角幡唯介さん(44)はグリーンランドの大地を犬ぞりで走っていた。帰国して3カ月半。いま新たな探検を構想しながら、「探検が社会のためになることはありません」と断言する。なぜ「社会の役に立たないこと」を続けるのかを聞いた。

 ――角幡さんがグリーンランドを探検中、コロナ感染が拡大していた日本では、「不要不急」という言葉が議論を呼んでいました。

 「ええ、それは帰国後に知りました。グリーンランドから朝日新聞に6月に寄稿した際、参考に養老孟司さんの『人生は本来、不要不急』というエッセーを送ってもらったのですが、『コロナがテーマなのに、なぜ不要不急の話ばかりなんだろう』と不思議に思いました。この言葉が日本で議論の的になっているのを知らなかったからです。まあ、僕のような探検家は不要不急の権化でしょう。でも、自分にとって探検は絶対的に『有要有急』ですから……」。

社会の役に立つという基準

 ――帰国後、取材に来た若い記者に「探検は社会の役に立っていないのでは?」と問われて驚いたと、ツイッターで発信していましたね。

 「そもそも探検とはシステム…

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