第5回冤罪を救える司法への道 自ら死刑を覆した検察官に聞く

有料記事検察・再生への道 証拠改ざん10年

聞き手・平賀拓哉
[PR]

 大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざん事件が発覚して10年となった。

 アジアで急速に刑事司法改革が進むのが、台湾だ。検察内部に冤罪(えんざい)を調査する部門が設けられ、証拠開示の仕組みも改善された。検察はどうあるべきか。江恵民検事総長に聞いた。

――大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を知っているか

 日本の司法の動向は、台湾司法界では常に関心が高い。事件は台湾でも報道され、検察官たちにも広まった。日本の検察は精密に捜査する伝統があり、なぜこんなことが起きたのかと非常に驚いた。

 台湾でも検察官と警察が事件を処理するために、法律が認めるラインを超えてしまったことがある。ともに、非常に残念なことだ。

 ――改ざんなどの事件が起きる背景は

 捜査関係者に先入観があると、被告にとって不利な証拠しか見なくなるからではないか。

 台湾では刑事訴訟法で、検察官は客観的である義務があるとされる。最近はチーム捜査を行うとき、必要があれば裁判官と弁護側の役割をする検察官を置き、捜査側と異なる見方もふまえて起訴すべきかどうかを決めている。

 ――江総長は台中高検検事長時代の2016年、台湾検察史上初めて検察官として死刑囚の再審請求をした

 検察官は冤罪と謙虚に向き合わなければならないし、検察官は保身的な態度をとらずに積極的に誤りを正すべきだ。改革のきっかけを引き出し、市民の司法に対する信頼を勝ち取ることができる。

 ――なぜ、冤罪が生まれるのか

 人間が行う裁判なのだから必…

この記事は有料記事です。残り1156文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら