睡眠2時間「生きた心地が…」初V正代、はね返した重圧

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菅沼遼 波戸健一
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 大相撲秋場所(東京・国技館千秋楽の27日、東関脇正代(28)=本名・正代直也、熊本県宇土市出身、時津風部屋=が13勝2敗で初優勝し、場所後の大関昇進を確実にした。

 正代は単独首位で迎えたこの日、新入幕で東前頭14枚目の翔猿を退け、1909(明治42)年夏場所で優勝制度が設けられて以降、熊本県出身の力士として初めて優勝した。

 立ち遅れ、かち上げは不発。正代は、攻め込まれて両足が俵についた。

 なんとか押し返したが、今度は翔猿に両差しを許して再び土俵際へ。そこで、自然と体が動いた。「無我夢中で、何とかしようと動いたのが、たまたまああいう形になった」。右足でこらえながら、右腕で逆転の突き落とし。「やったぞ。勝てたんだ」。土俵上でうなずいた。

 大一番で、明らかに動きが硬かった。前夜から重圧を感じていた。午前0時ごろに布団に入ってから、苦手な形で相撲を取ってしまうイメージが何度も頭に浮かんだ。気づけば午前5時。眠れたのは、2時間程度だった。仕切りの間も心臓の鼓動が聞こえ、のどが渇いて仕方がなかった。「生きている心地がしなかったです」

 昨年の九州場所で11勝を挙げてから、今年は13、8、11と勝ち星を積み重ねてきた。今場所は両大関を破っての13勝。安易に後ろに下がる悪い癖は影を潜め、年間45勝は幕内のトップを行く。実力はすでに大関級。そして、初めて千秋楽を単独首位で迎える重圧も乗り越えた。

 抱いた賜杯(しはい)は「重かった」。熊本県出身としては初の優勝で、大関という次の地位も確実になった。周囲の期待に加え、協会の看板を背負うからには、これからは優勝争いに絡むことが求められる。だが、正代は「今回よりかは、追い詰められないんじゃないかな」と心配していない。この15日間で、上の地位で戦う自信も得た。(菅沼遼)

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