思想難民の日本、だから刺さった半沢直樹 冷笑も共感も

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聞き手・藤田さつき 聞き手・編集委員 藤谷浩二 聞き手・高久潤
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 テレビドラマ「半沢直樹」が完結した。7年ぶりの続編は20%を超える高視聴率が続いた。なぜこれほどまで人気を集めたのか。作品から見えた日本社会について、考える。

キーワードは「とは言ってもね」 常見陽平さん

 恫喝(どうかつ)、つるし上げ、土下座に、居酒屋での機密情報漏洩(ろうえい)。「半沢直樹」では、頻繁に登場するコンプライアンス違反のシーンにハラハラさせられました。そして、圧倒的なまでの男社会。相変わらず肩書に拘泥し、派閥争いで足を引っぱり合う。

 昭和ですか? 世間もだいぶ変わりましたよ。前作から7年、マイナス金利でメガバンクは凋落(ちょうらく)、就職人気も落ちました。毎回突っ込みどころ満載でした。

 でも毎週日曜夜になると、いそいそとテレビの前に座る自分がいました。初めは冷やかしで「ほんと、やだねぇ。会社やめてよかったー」と笑いながら見ていたのに……。

 私は15年間、会社員をしていました。長時間労働に宴会芸、強制ゴルフ、パワハラ、左遷と「社畜」らしいことはだいたい経験しました。生き地獄でした。

 でも、会社ならではの高揚感…

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