足の故障、陰口 有森裕子を励ました「せっかく」の思想

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佐藤陽
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 五輪女子マラソンで2大会連続メダリストになった有森裕子さん(53)。1996年のアトランタ五輪で銅メダルをとったときの名言「自分で自分をほめたい」は、あまりにも有名だ。その言葉を生み出す元になった、亡くなった恩師からのある言葉がある。社会貢献活動に力を入れるいまも、その言葉は、有森さんの心を支えている。

 学生時代、マラソン選手としては無名だった。89年、リクルート小出義雄監督(故人)の門をたたいたが、実績がなく最初は断られた。何とか入部を果たしたが、「最初はマネジャーのつもりだったようです」。だが誰よりもハードな練習メニューに、くらいついていった。徐々に、結果を出すようになってきた。

なんで、私だけがこんな目に遭うの?

 あるとき、小出監督に言われた。「お前は、体の素質はないが、気持ちの素質は世界一だ。だから、何とかなるぞ」。この言葉は、自信になった。「小出監督も、(学生時代に実績がなくて、その後、成績が伸びていく)私のようなタイプは、初めてだったんだと思います」

 有森さんは、自身を「どちらかというと物事をネガティブに考え、落ち込みが長いタイプ」と自己分析する。足などのけがが多く、思うように練習ができない期間もあった。どうしても「なんで、私だけがこんな目に遭うの?」と悩んでしまう。

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 監督のいる事務室へよく顔を…

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