第3回特捜の新「武器」に潜む危険 司法取引・電子鑑識に是非

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 「特捜は10年立ち直れない」。大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざん事件が発覚した2010年秋、最高検幹部は朝日新聞記者にそう漏らした。

 「改ざん事件後、検察に対する裁判所の態度も厳しくなった」と元大阪地検幹部は言う。顕著な例として挙げたのが再審請求への判断だ。12年、大阪・東住吉放火殺人、東京電力女性社員殺害の両事件で再審開始が決まり、自白調書などに基づく検察側の主張が退けられた。

 証拠改ざん事件が朝日新聞の調査報道で発覚して21日で10年がたった。事件を機に、検察は再生への道をどう歩んでいるのか。3回にわたり紹介する。

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捜査の録音・録画進んだが 「自白は証拠の王」なお強調

 18年11月19日、東京・羽田空港に着陸したジェット機に、背広姿の男たちが乗り込む映像がテレビで流れた。東京地検特捜部金融商品取引法違反容疑で日産自動車カルロス・ゴーン会長(当時)を逮捕し、乗ってきた機内を捜索した場面だった。改ざん事件から8年後、特捜部の「復活」を印象づけた。

逮捕された国会議員が語る

 その後も、昨年末、統合型リゾート(IR)事業参入を巡る秋元司衆院議員汚職事件に着手し、今年6月に河井克行衆院議員と妻の案里参院議員を、地元議員らを選挙で買収した公職選挙法違反容疑で逮捕した。

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 「改ざん事件からなりを潜め…

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