耐えた銀行、巻き返しだ! 公取委が迫る手数料カット

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笠井哲也
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経済インサイド

 「銀行間手数料については、何かしら改革の手を打っていく必要性を感じている」

 6月17日、全国地方銀行協会の定例会見で、大矢恭好会長はそう述べた。前日、政府の未来投資会議で安倍晋三首相(当時)が「40年以上不変である銀行間手数料について、合理的な水準へ引き下げを図りたい」と発言し、業界独特の商慣行にメスを入れる方針を打ち出したばかり。大矢氏は業界に待ち受けるであろう、苦しさもにじませた。「今後、収益に与えるインパクトは各行で考えていかないといけない」

 銀行間手数料は、全国の銀行を結ぶ決済システム「全銀システム」を使う際、送金元から送金先の銀行へ払う料金を指す。送金額が3万円未満で117円、3万円以上だと162円。利用者が払う振込手数料に含まれるが、表舞台に出ることはなく、金融庁幹部ですら「(存在を)知らなかった」という代物だ。そんな隠れた手数料が、未来投資会議の首相発言を経て、7月に閣議決定された政府の成長戦略ではキャッシュレス推進の看板政策の一つになった。

 なぜ首相自らがやり玉に挙げるまでになったのか。

キャッシュレス化をめぐり、銀行業界は新興企業に攻め込まれ、政府からは手数料引き下げを迫られています。防戦一方と思いきや、千載一遇のチャンスも到来。舞台裏と巻き返しへの動きを追いました。

公取委の調査は「寝耳に水」

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 政府が動きを見せたのは昨年…

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