第6回世界の胃袋満たす米食肉企業 小さな商人、寡占への逆襲
サウスダコタ州=青山直篤
【動画】キム・ウルマーが通う牛の競り場=青山直篤撮影
断層探訪 米国の足元 第二部①
漆黒の牛たちが一斉に入ってくると、落ち着かないようすで動き回る。競り場は、ぶつかり合う牛の体が発する、すえたようなにおいで満ちた。
壇上の競り人が早口で数字を連呼する。「Here we go(よしきた!)」。仲買人がしぐさでサインを示すたび、競り人は合いの手を入れながら値段をつり上げていく。
7月、米サウスダコタ州の州都ピアの競り場には、カウボーイハットをかぶった男たちが集まっていた。競りの展開を見守るキム・ウルマー(57)のまなざしは真剣だ。素人には判別できない競り人との絶妙の呼吸で、一群の牛を競り落とした。
「今日はうまくいった」
断層探訪 米国の足元
冷戦終結後、世界はグローバル化をひた走り、企業はサプライチェーンの効率化を前提として経済成長を追求してきた。膨大な富が生まれる一方、格差の拡大や地域社会の弱体化は、民主主義を弱めた。新型コロナウイルスがもたらした危機は、時代の転機を告げている。動揺するサプライチェーンの「断層」で針路を探る人々を訪ね、全5回で報告する。
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この日は仲買として競り場を…
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