マネロン疑い、日本の企業も 「指示あれば従うしか…」

有料記事フィンセン文書

編集委員・奥山俊宏 小池寛木 酒井祥宏 藤山圭
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 マネーロンダリング資金洗浄)などの疑いがあるとして、米国に本店や支店がある金融機関から米財務省に報告された資金のやりとりの中に、日本の企業や個人からの海外送金も含まれていた。朝日新聞などが提携する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が分析した2100件超の報告書「フィンセン文書」で確認された。

 分析したのは、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク局(フィンセン)に届け出があった「疑わしい取引」の報告書のうち、米バズフィードニュースが確認したもの。ICIJと提携する朝日新聞など88カ国の109の報道機関、400人超のジャーナリストが調べた。その中に、日本の約40の企業・個人の取引があった。

 このうち、国内の大手殺虫剤メーカーは、中国・深圳でバッグなどの縫製工場を営む中国人男性への2015年6月~16年12月の送金が、ビジネス上の関係が不明などとして「疑わしい取引」と報告されていた。

 朝日新聞の問い合わせでこのメーカーが調べたところ、同社は中国人男性の工場に携帯用の虫よけを腕に巻き着ける際に使うゴムバンドなどの製造を発注しており、報告の期間に計168万ドルを送金していた。

 送金先が取引先の企業ではなく、中国人男性が香港に持っていた個人口座だったことも「疑わしい」理由の一つだった。会社が受け取るべき支払いが域外の個人口座に送金されれば、脱税や横領といった不正に悪用されるおそれもある。

 中国人男性は、「日本から中国に金を入れるのは難しく、中国の銀行に送金されてもいろいろな理由で引き出しづらい」としたうえで、「多くの深圳の工場が当時行っていた普通の形」と不正を否定した。ただ、メーカーの担当者は個人口座への送金について「会社間の取引ではありえない。取引の基本中の基本。お粗末だった」と話し、この中国人男性との取引の中止を検討しているという。

支払先は「ハイリスク地域」

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フィンセン文書

フィンセン文書

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