新型コロナウイルスの影響で秋祭りが中止になったはずの町で20日、期せずして太鼓や笛の音が鳴り響いて屋台が並び、お祭りムードに包まれた。それは、「1年は9月から始まる」と言われるほど祭り好きの住民たちによる、偶然の連鎖だった。
きっかけは、岩手県の大槌町文化交流センター「おしゃっち」で16日から始まった展示だった。
おしゃっちの統括管理者・生利望美さん(38)は手踊りの団体に所属し、秋祭りでは毎年、町中を練り歩いている。秋祭りが中止になり、残念がる声をあちこちから聞いて「少しでもあの熱気を再現したい」と郷土芸能団体に祭りに関する展示物が出せないか呼びかけた。すると、あっという間にのぼりや法被、過去の祭りのDVDが集まった。「自慢の祭り写真」を募ると数日で震災前や復興途中の町の姿がわかる写真など60枚以上が寄せられた。
展示準備中、町出身で露天商を率いる村上克人さん(53)から「おしゃっちの駐車場で店を開かせてほしい」と頼まれた。祭りが各地で中止になり、収入確保のほか、7月の豪雨被災地に寄付するため、釜石市や大船渡市で屋台イベントを開いていた。「大槌でも」という打診におしゃっち側は対策の徹底を条件に許可し、神社で秋祭りがあるはずだった19、20日、飲食の屋台が18店舗並んだ。
村上さんは「せっかくなら郷…
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