コロナで中学受験生「1~2割減」予測 聖光学院中校長

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取材・構成 松沢奈々子
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 新型コロナウイルス中学受験学校教育に与える影響について、聖光学院中高校長で神奈川県私立中学高等学校協会理事長も務める工藤誠一さんに聞きました。

 新型コロナウイルスは経済的格差による教育格差を拡大させました。突然の休校に、オンライン対応にいち早く切り替えた私学がある一方で、学校間や家庭間のインターネットの通信環境の違いなどで、学びの質と量に差が出ました。

 聖光学院中高(横浜市中区)では以前から校内のWiFi環境を整えたり、生徒1人に1台、タブレット端末を配布したりしていたので、オンライン対応という意味では大きな問題はありませんでした。

 ところが、生徒たちの間で別の格差が生じました。定着度の差です。やる気のある子とそうでない子との大きな差が、学校再開後、明らかになりました。オンラインで授業はどんどん進む中、勉強しているかしていないか、学校側からはわからない。ばれないから、やらない子はやらない。実力の差がずいぶん出ています。学習計画の予定をこなすという意味で聖光学院は遅れていない。でも、進度と定着度は別。公立、私立問わず、起きたことです。

 オンライン授業の限界も感じています。マンツーマンで英会話をしたり、帰宅後でも仲間と協働学習ができたりと、いい面は大いにあります。ですが、教員と生徒、あるいは生徒同士のやりとりがあって何かが生まれることが少なく、幅が広がらない。

 それに、オンライン会議システムのZoom(ズーム)で30人を相手に授業をしても、誰が手を挙げているか瞬時にはわかりません。やはり中等教育の主は対面授業で、オンラインは併用がいい。改めて、顔を合わせて授業をすることの大切さを実感しています。

 政府はオンライン学習の環境整備のため、1人1台の端末配布の計画も前倒しで進めています。ですが、学校に端末を置くだけでは意味はない。家でも使って課題も事務連絡もそれで出す。日常使いができる形にしないとだめです。

     ◇

 コロナの影響は学校の経営にも及ぶでしょう。家計急変で退学を余儀なくされるなどの事例は聖光学院ではまだ見られませんが、来年以降、中学入試の応募者は1~2割ほど減ると予測しています。定員割れになる私学も出てくるかもしれない。ですが、高校は国の「私立高校授業料実質無償化」に加え、県が年収700万円未満の世帯の授業料を実質無償化しています。そうした制度を改めて知ってもらわなければと思います。

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 理事長を務める県私立中高協…

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