ラグビーW杯から1年 草の根指導者らが作った交流試合

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野村周平
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 ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の開幕から20日でちょうど1年。新型コロナウイルスの影響で日本代表を始め、あらゆるレベルの試合中止が相次ぐなか、草の根の活動を絶やさぬよう奮闘する動きがある。21日に埼玉県三郷市で開かれる中学生の卒業記念交流試合も、その一つ。ある全国大会の中止が、無名の指導者の情熱を突き動かした。

 中学生年代で学校・ラグビースクール(RS)・女子のカテゴリー別に日本一を決める「太陽生命カップ全国中学生大会」の中止を、日本ラグビー協会が発表したのは6月のことだった。「子どもたちに目標を作ってあげたい」。事前にうわさを聞いていた世田谷区RS(東京)の山田良和ヘッドコーチ(51)は全国のRS仲間と連絡を取り合い、独自の代替大会開催を模索。動揺する選手たちにも、9月の試合開催を目指すから鍛え続けてほしい、と伝えていた。

 課題は山積みだった。九州や関西のチームも趣旨に賛同してくれたが、具体的な調整を進めていた7~8月に新型コロナの感染が再び拡大。関東周辺のチームに参加を絞らざるを得なかった。約50倍の抽選を「突破」して三郷市のグラウンドを確保。同市と交渉して中学3年生1人につき保護者1人だけ、試合を観戦できるようにした。最先端の「AIカメラ」を使ったライブ中継をオンライン上で見られる仕組みも整えた。

 世田谷区RSに所属する中学生は96人。自粛期間中は家庭でできる練習を考え、その様子をコーチが動画でチェック。6月から少しずつ屋外練習を再開し、9月初めに久しぶりの対外試合を組めた。今まで通りの練習ができず不安もあったが、「家のトレーニングで5キロ以上体が大きくなった選手もいた」と山田さん。ビデオ会議で新戦術を共有し、アニメーションを使ったコーチングも導入するなど逆境を糧にした。

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 W杯の盛り上がりで子どもた…

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