香取慎吾さん、新作の服に「あ!」 ミラノにわくわく

有料記事ファッション

聞き手・後藤洋平
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 ミラノ・ファッションウィーク(MFW)の2021年春夏コレクションが22日に開幕し、翌23日から28日まで60超のブランドがショーやデジタル動画で新作を発表する。MFWのストリーミングパートナーとなった朝日新聞は、香取慎吾さんをナビゲーターに迎え、公式ショースケジュールにラインナップされている全ブランドの発表を特設サイトで同時配信する。自身でも2年前にブランド「ヤンチェオンテンバール」を設立した香取さんに、ファッションへの思いや、コロナ禍による業界の変化について聞いた。主なやりとりは次のとおり。

 ――ファッションを好きになったのは10代の頃にヒップホップ文化に触れ、その後モードに傾倒したと以前おっしゃっていました。本格的にのめり込んだきっかけは?

 いつから、どこからだろう……。ファッションが好きになって、そのつくりのディテールにも興味を持つようになった。そこから歴史をひもといて分かるようになって、さらに好きになったんですよね。いまの新しいファッションでも「元々あのときのあれが壊されて崩され、それが再構築されてこうなったんだな」ということが分かるようになって、どんどん深くのめりこんでいった。服を買い続けてから長いので、現在は「ビンテージ」と言われて価値が高くなっている服のいくつかも、僕は当時普通に買っていて家にあるんです。それも面白いですよね。「15年、20年経つとそうなるんだな」と実感しています。

 新しいシーズンで、過去を再解釈したものを見つけると、感覚的に「あ!」と思う。10代の頃に着ていた、20代の頃に着ていたという記憶がめぐります。でも、もちろん時代が回るなかで、新しいもの、違うものが飛び込んできた時には更に面白いんですけどね。

 たとえば近年の「ダッドスニーカー」と呼ばれる厚底のスニーカーが、どこのブランドにもあるという現象は面白いですよね。なんだろう、じわじわときて、ワーッと広がって。まさかこのブランドも?みたいなね。もう、出していないところが本当にないじゃないですか。そういうのって、すごいことだと思う。そういう時に、どこかで「このブランドは流行に乗らないでほしいな」という思いもあるんですが(笑)、でも「あのブランドも出して、このブランドも出しているんだから、いかないわけないよな」とも思うんですよね。

<ダットスニーカー> 2017年にバレンシアガはランニングシューズ、バスケットボールシューズ、トラックシューズの三つのソールを重ねた「トリプルS」を販売。大ヒットしたことで、各ブランドが次々と厚底スニーカーを売り出した。

 ――昨年9月には、実際にミラノでグッチのショーをごらんになったのですよね。どんな印象でしたか。

 他のショーも見たことはあったけれど、あんなに本格的で大がかりなのは初めてでした。「なんて華やかなんだろう」と。楽しかったですね。

 ――ミラノの有力ブランドのショーはセットも豪華ですよね。

 特別な経験でした。僕の仕事であるエンターテインメントとも近い部分もあるのですが、それとも違う。僕も「ショー」をやり続けているのですが、「いまここにいるお客様を楽しませるショー」だけではないんですよね。それももちろんなんだけど、その先にいる地球上の、「このブランドが好きで、このファッションをまといたい」という人間に向けて、ここから発信していく、ここから始まっていくんだというパワーがみなぎっていました。「その場にいるってすごいことだな」と。いつも、発信されたものを見て情報を得ていた、受け取る側だったので。実際に足を踏み入れているんだという感動がありました。

 ――今回、朝日新聞の特設サイトで、MFWの全てのランウェーショーを生配信するのですが、香取さんは今までは、新聞やネットニュースのほか、各ブランドのサイトでチェックしていたのですか?

 そうです。だから、今回の試みは素晴らしいと思います。やっぱり興味があったり、好きなブランドしか見なかったりする。それに、好きなブランドがいくつもあるとチェックしきれなかったりする。一つのサイトで全てのショーを生で配信するというのは、新しい出会いも出来ると思うんです。そこがすごく大きい。ここにくれば、好きなブランドはもちろん、気になっていたブランドもそうだし、もしかしたら嫌いなブランドでもショーを見てみたら「好きだったかもしれない」とか、そんな気づきが絶対にあると思う。

 ――ファッションとデジタルの関係が新型コロナで変わり、主催者側も広くデジタル展開を考えているのだと感じています。

 僕も実際、この何カ月間か、本当に色々と考えさせられました。もちろんデジタルでファッションを見ることも買うこともあったし、自分たちで手がける「ヤンチェオンテンバール」の洋服を限定でデジタルで販売していたこともある。でも、どちらかというとやっぱり直接触れたり、現物を見て、触れて選んできた。人間関係も同じです。電話で話すだけ、メールで連絡するだけよりも「ひと目でもいいから」と直接会って、これまで生きてきた。だからこういう状況を最初はなかなか受け入れるというか、受け止めるのが難しかったけれど、ようやく少しずつプラスに考えられることが増えてきたんですよね。きっと世界では、新しいことも起きている。新しい変化を試してみようかなと思えるようになってきた。

 ――プラスというのは、具体的にはどんなことでしょうか?

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 それこそ今回のサイトの試み…

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