ジャパンライフ元会長を逮捕 「オーナー商法」詐欺容疑

【動画】 詐欺容疑で逮捕された「ジャパンライフ」の山口隆祥・元会長=藤原伸雄、加藤諒撮影
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 家庭用磁気商品の「オーナー(販売預託)商法」で多額の現金を集めた「ジャパンライフ」(東京、破産手続き中)について、警視庁と愛知など5県警の合同捜査本部は18日、元会長の山口隆祥(たかよし)容疑者(78)=東京都文京区=ら14人を詐欺容疑で逮捕した。債務超過の事実を隠して営業したという。延べ約1万人から2100億円を集めたといい、合同捜査本部は実態の全容解明を目指す。

 山口容疑者はこの日朝、自宅で逮捕された。髪形を整え、ジャケット姿でサングラスをかけていた。報道関係者から「債権者にひと言」などと声をかけられたが、無言でゆっくりと捜査車両に乗り込んだ。

 ほかに逮捕されたのは、山口容疑者の次女で元社長の山口ひろみ(48)=群馬県太田市=、元取締役の安田真二(62)=相模原市=、元取締役の松下正已(61)=愛知県半田市=ら13容疑者。

 警視庁生活経済課によると、山口隆祥容疑者らは同社が債務超過に陥っていた2017年8~11月、元本保証や高い配当の支払いをするとうそをつき、東京や愛知など1都7県(東京、山形、福島、新潟、静岡、愛知、岡山、滋賀)の58~85歳(当時)の男女12人に磁気ベストや磁気ネックレスの「モニター」として客を募るよう依頼。商品の購入費として計約8千万円をだまし取った疑いがある。捜査本部は容疑者の認否は明らかにしていない。

 同社は1975年設立。80年代に国会で「マルチまがい商法」と指摘されていた。03年ごろから、元本保証と年利6%の配当をうたい、顧客が「レンタルオーナー」となって購入した磁気商品を有料で貸すという商法を全国展開。ただ、商品が契約数より大幅に少ないことが発覚。解約を妨害するなど不適切行為もあり、17年末までに、消費者庁から一部業務停止などの処分を計4回受けた。17年末に倒産し、翌年3月に東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は2405億円、債権者は7千人。

 警視庁などは19年4月、債務超過の事実を隠して顧客を勧誘していた疑いがあるとして、特定商取引法違反(事実の不告知)容疑で12都県の同社の関係先33カ所を家宅捜索。段ボール約4500箱分の財務資料を分析するなどして、経営実態を調べていた。

 同社をめぐっては、山口隆祥容疑者が安倍晋三首相(当時)主催の15年の「桜を見る会」に招かれたとする招待状を勧誘に使ったことが19年11月に発覚。安倍氏の推薦枠だった可能性が浮上し、国会で取り上げられた。安倍氏は同年12月の参議院本会議で「個人的な関係は一切ない」と答弁していた。

オーナー商法とは

 オーナー商法 高配当や元本保証を約束し、顧客に商品や権利などを売ってオーナーにしたと同時に預かり、別の人に貸すなどして配当を生む商売。「販売預託商法」とも呼ばれる。実際には商品を運用していなかったり、商品自体がなかったりする被害が後を絶たないが、企業が経営破綻(はたん)するまで表面化しにくい。消費者庁は今年5月、オーナー商法を原則禁じる方針を決定。来年の通常国会に特定商品預託法の改正案を提出する。

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