コロナ禍でも師匠の愛 弟子への黒紋付き代、落語会で

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篠塚健一
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 コロナ禍のために仕事が激減し、落語家の修業期間を終えた弟子に贈るつもりだった黒紋付きの着物と羽織を作ってやれない――。この苦境にめげることなく、今年還暦の師匠は異例の連続落語会を開くことを決めた。新たな一歩を踏み出す弟子のために、愛情と厳しさを込めた精いっぱいの花むけだ。

師匠桂枝雀に作ってもらった黒紋付き

 師匠は、上方落語の爆笑王で一時代を築き上げた故・桂枝雀(しじゃく)の弟子の桂九雀(くじゃく)(59)。入門したのは1979年。その2年後に内弟子修業を終えて、師匠宅で祝いの宴会を開いてもらった。宴の最中、師匠にあつらえてもらった黒紋付きにこっそりと着替えて、兄弟子らの前で晴れ姿をお披露目した。「恥ずかしかった」と若き日を思い出すが、独り立ちの節目となる忘れられない儀式だった。

 その九雀が、4年前に初めて弟子に取ったのが桂九ノ一(くのいち)(24)。年季明けの条件として言い渡した20本のネタを今年5月に仕上げた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で九雀が出演するはずだった公演は次々になくなり、収入は実に「9割減」。九ノ一のために黒紋付きをあつらえるはずだったが、約30万円かかる見通しでそんな余裕はとてもなくなった。

連続落語会に込めた思い

7日間連続落語会

10月5日から11日まで大阪市北区天神橋のツギハギ荘で。午後7時開演(10日のみ午後2時開演)。各日予約2500円、当日3千円。問い合わせは、九雀(090・9254・8331)。

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