「地方創生」の現在地 分散どころか進んだ東京一極集中

有料記事菅政権発足

松本紗知 前田朱莉亜 栗田優美
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 「故郷(ふるさと)を消滅させてはならない」。安倍晋三首相はそう訴えて「地方創生」を掲げてきました。約7年8カ月の第2次安倍政権下で、皆さんの「故郷」はどう変わったでしょうか。第2次政権で官房長官を務め続けた菅義偉氏の新政権が動き出す今、現場から考えます。

東京一極集中の是正掲げたが

 「まちの風景が大きく変わってしまった」。山形市の中心街でワインバーを営む斎藤正弘さん(53)はそう話す。東京からUターンして店を始めたのは、第2次安倍政権発足翌年の2013年秋。「そのころは深夜まで飲み歩く人もいたが、年々、夜が静かになってきている」

 近年、かいわいの店の閉業が相次ぎ、駐車場やマンションが増えた。店からもほど近い百貨店「大沼山形本店」も、コロナ禍の影響を受ける前の今年1月に破産。市内からデパートがなくなった。観光拠点にもなっていた創業135年の老舗漬物店も5月末でのれんを下ろした。

 元小学校を創作の場にしたり、空き店舗への出店を促したりと行政や地域も活性化に手を尽くし、街なかの空洞化を食い止めようとしている。

 安倍晋三首相は14年秋、「故郷(ふるさと)を消滅させてはならない」(臨時国会での所信表明演説)と「地方創生」を掲げ、人口減対策や活性化を担う「まち・ひと・しごと創生本部」を設置。地方創生担当相のポストも新設し、石破茂氏を据えた。年末には東京一極集中を改めるため「地方から東京圏への転入を20年に13年比で年6万人減らし、地方への転出を年4万人増やす」という目標を立てた。

 地方に移る企業の税を優遇し、中央省庁の移転も試みた。雇用を生み、地域を活性化させる施策に補助金や交付金もつけた。

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 だが昨年の東京圏への転入は…

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