拡大する写真・図版諏訪原健さん=関田航撮影

 長く続いた安倍政権の下で大人になった今の20代。2015年に安保法案反対のうねりを生み出したのがこの世代なら、高い支持率で長期政権を支え続けたのも、この世代だ。若者にとって安倍政権の7年8カ月とはなんだったのか。学生グループ「SEALDs」の活動の中心にいた諏訪原健さん(27)に聞いた。

 すわはら・たけし 1992年、鹿児島県鹿屋市生まれ。筑波大大学院在学中にSEALDsのメンバーとして活動。学者や市民団体と「市民連合」をつくり野党共闘を後押しした。

 ――諏訪原さんたちが国会前で「安倍はやめろ」と声をからしていた、その安倍政権が終わりました。

 「辞任のニュースを聞いたときは、驚くほどなんの感情もなかったです。首相が代わっても民主主義の手続きを無視する基本的な姿勢は温存されるだろうから」

 「安倍政権は民主国家としての最低限のモラルをことごとく壊した政権でした。憲法解釈の変更で集団的自衛権の限定行使を認めて憲法を事実上骨抜きにしたり、強行採決を繰り返したり、多数派の声だけで決まることのないよう配慮すべき国会が機能せず、民主主義の基盤が失われた。僕たちは短期的には安保法案や安倍政権と対峙(たいじ)したけど、自分の生きる社会をどうしたいのか、権利や尊厳を懸けて闘っていた。だから今回、安倍さんが辞めたというだけでは何の意味もないのかもしれない」

 ――皆さんが闘った安保法案は2015年9月に成立しました。あれからちょうど5年、SEALDsは社会に何か残せましたか。

 「安倍政権は、人がものを言う…

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