みとりの時やっと会えた母の手は…コロナ禍の遠距離介護

有料記事介護とわたしたち

編集委員・清川卓史
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 終わりの見えないコロナ禍。都道府県境を越える介護帰省や、施設での面会には、なお壁がある。郷里で暮らす認知症の親を思い、支える遠距離介護の家族の苦悩は続いている。

認知症の母 手を握れずに半年

 「私は遠距離介護家族です。特養にお世話になっている母親に会いに行けず、もう半年。2月は自力で歩けた母は食が細くなり、みとりに入る段階になってしまいました」

 この夏、茨城県の71歳女性からそんな切実な声が記者に届いた。

 94歳になる母親は認知症で、実家のある静岡県内の特別養護老人ホームに6年前から入居している。特急バスと新幹線を乗り継いで静岡と茨城を往復し、女性は2週間に1度、2泊3日の帰省を続けてきた。

 会えば食事の介助をしたり、孫の写真を見せたり。母と過ごす時間を大切にしてきた。しかし、新型コロナ感染防止のため2月下旬から面会できなくなった。

 5月からLINEを使ったオンライン面会が可能になった。3カ月ぶりに目にした母の姿に、ショックを受けた。やせていて、表情もうつろだった。「お母さんっ」。懸命に声をかけたが、誰の声かわからずに母は混乱しているようにもみえ、胸が痛んだ。

 7月に入って、静岡県内に住む家族の面会制限は一部緩和された。ただ県外在住者である女性の面会は、この段階でも認められなかった。

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 母の顔をじかにみて、手のぬ…

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