第12回「動物を見せるだけ」でいいのか 悩んだ園長が選んだ道

【動画】「動物たちはどこへ 変わりゆく動物園」 転換期を迎えた動物園の実態に迫ります
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 園内の動物を守るだけでは、動物園の役割は十分に果たせない。そんな考え方から、もともと動物たちが暮らしていた自然環境の保護や、動物園で生まれた動物を自然にかえす取り組みが始まっている。

 動物園の役割とは何だろう――。2007年、旭山動物園(北海道旭川市)の坂東元(げん)さんは悩んでいた。

 その年度の入園者数は上野動物園東京都台東区)に次いで全国2位。動物本来の行動を見せる「行動展示」が評価され、国内外の観光客を呼び寄せた。ボルネオオランウータンなど絶滅危惧種の繁殖で「種の保存」にも取り組んできた。でも、これだけでいいのだろうか。

 「ただ動物をコレクションし、それを見せるだけの存在で終わってしまっている。このままでは、自治体財政がますます厳しくなるなか、切られる動物園も出てくるだろう。社会インフラとして必要とされる存在にならなければいけない」

【プレミアムA】動物たちはどこへ

日本に動物園ができてまもなく140年。これからも存在していくために、果たすべき役割は何か。情報公開請求して入手した84の公立動物園の資料と取材をもとに、動物園が抱える理想と現実、ひずみに迫ります。

 08年1月、坂東さんはマレ…

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連載動物たちはどこへ 変わりゆく動物園(全16回)

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