菅少年、頑固者だけど女子に赤面 農家の長男坊が総裁に

有料記事自民党総裁選2020

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 「ポスト安倍」を決める14日の自民党総裁選で、新総裁に選ばれた菅義偉官房長官(71)とはどんな人物なのか。秋田の農村に生まれ育ち、横浜で政治家の道を歩み、次の首相の座をつかむことになった菅氏。その足跡をたどった。

 「総理になりたくてなれる人はほとんどいない。チャンスがあった時は逃げないで挑戦してけれ」

 2019年の春ごろ、国会そばの議員会館の一室で由利昌司さん(71)はそう言った。机を挟み、向き合うのは小中高校の同級生である菅義偉官房長官(71)だ。新元号「令和」の発表で、「令和おじさん」として注目が高まっていた。

 菅氏は眉間(みけん)にしわを寄せた。「何だよ、お前までそんなことを言うのか」

 由利さんが「何も怒ることねえべ。これはおれの希望で、多くの県民の希望だ」と言うと、菅氏は口をつぐんだ。

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 2人が育ったのは、北に380キロ離れた秋田県湯沢市(旧雄勝町)の秋ノ宮地区。山々に挟まれた農村だ。9月初旬、田んぼには稲穂が揺れ、用水路を流れる水の音と虫の鳴き声が響いていた。

 「あのころは子どもが多かった」。菅氏の小中学校の同級生で、農家の菊地等さん(71)は当時を懐かしむ。秋ノ宮小学校への通学途中、用水路に片手を突っ込み、石と石のすき間に潜むフナを手づかみした。「つかまえた!」「あ、逃げた!」。菅氏は小学校までの約100メートルの間に、3回も4回も器用にフナを捕まえたという。

 夏休みには、近くを流れる役内(やくない)川の河川敷に白旗が掲げられるのを合図に、川遊びをした。山々からしみ出す伏流水が、汗をかいた体にひんやりと気持ちよかった。捕まえた魚たちは柳の葉を通してつなぎ留め、持ち帰って食べた。秋はアケビやヤマブドウを採りに山へ。冬にはスキー板をかつぎ、山に向かった。

 菅家では、地区に珍しく月刊漫画雑誌「冒険王」を購読していた。仲の良い同級生は配達日に合わせ、学校が終わると足早に菅家に向かった。由利さんは「義偉君は『先に読んでいいよ』と渡してくれた」。玄関先で2人1組になって雑誌を広げ、残った子は相撲やコマ回しをして待った。

 菅氏はどんな性格の少年だったのか。

勘当同然で家を出た

 「芯が強い。いったんこうだと言うと、自分が納得するまでやり抜く」と由利さんは語る。

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 秋ノ宮中でともに軟式野球部…

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