消えたばあやん あれから9年半、娘の名に気持ち込める

有料記事

上地一姫
[PR]

 8歳になる娘が満面の笑みで学校から帰ってきた。

 「虹があったの。あれ、ばあやんかな」

 祖母との「約束」は中ぶらりんのまま。そんな私を気づかってくれているのかしら――。湊(みなと)尚子さん(33)は胸がいっぱいになった。

 あれから9年半になる。2011年3月10日、岩手県宮古市に住む尚子さんは隣町の山田町船越にある祖父母宅を訪れた。前日に三陸沖でやや強い地震があり、津波注意報が出ていた。

 「でかい地震がきたら何もいらないから、高い所に逃げてね」。75歳になる祖母の山崎チヨさんにそう伝えると、「おめえさんも気をつけなさいよ」とかえしてくれた。「絶対だからね」。尚子さんは念を押した。

ここから続き

 東日本大震災の後、避難所を…

この記事は有料記事です。残り767文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら