ドコモが謝罪「本人確認不十分だった」 全額補償を表明

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井上亮
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 地方銀行などに預けられたお金が、NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座(こうざ)」を使って不正に引き出された問題で、ドコモの丸山誠治副社長が10日夕に都内で記者会見し、被害にあった預金者に全額を補償すると表明した。

 被害は、サービス対象の銀行35行のうち11行で見つかっており、66件の計約1800万円に上る。いずれも8月以降で、1件あたりの最大額は60万円。被害者はドコモ口座を自らは設けておらず、ドコモの携帯電話を使っていない人もいたという。

 ドコモ口座は、銀行口座とひもづけてチャージすれば、スマートフォンを使った決済「d払い」ができる。今回の不正では、口座番号や4けたの暗証番号などを入手した何者かが、預金者になりすましてドコモ口座を設け、銀行口座からお金を移していた。

 丸山氏は不正利用を排除する本人確認が不十分だったことを認め、「被害者におわび申し上げる」と陳謝した。預金者が被害にあったかどうかを確認するには預金通帳など入出金記録を確認してもらうしかないという。

 お金が銀行口座からドコモ口座に移ると、通帳などの支出欄に「ドコモコウザ」「デイーバライ」などと記される。ドコモ口座を使っていないのにそうした記載があれば、被害に遭った可能性が高い。

 ドコモ口座の銀行口座との新たなひもづけは10日から全面的に停止。ドコモは2段階認証などの再発防止策をとったうえで1カ月以上、先の再開をめざす。

 既にひもづけられたドコモ口座へのチャージの全面停止には踏み込まない。

 ドコモ口座を使った不正は昨年5月、11行とは別に、りそな銀行の口座でも起きていた。その後の昨年9月、ドコモは利用者を増やすことを狙い、ドコモ口座の開設を携帯電話の契約者以外にも開放。この際、メールアドレスがあれば口座をつくれるようにするなどハードルを低くしていた。11行での被害は、その後に集中していた。

 金融庁はドコモや銀行に報告を求めており、警察は捜査を始めている。(井上亮)

会見の一問一答

 電子決済サービス「ドコモ口座」が銀行預金の不正引き出しに使われていた問題で、NTTドコモの丸山誠治・副社長らが10日、記者会見を開いて謝罪した。会見での主なやりとりは次の通り。

 ――ドコモ利用者でない人が被害者。ドコモの携帯を持たない人にも電話番号の登録を義務づけていれば防げた。なぜ、こういう経営判断になったのか。

 (丸山氏)「ドコモの回線を使っていない方にも便利に使っていただこう、という戦略で事業に取り組んでいた。今から考えれば不十分で反省している」

 ――顧客の安全よりもビジネスを優先させたのではないか。

 (丸山氏)「そういう意識はない。サービスをなるべく多くのお客様に使って頂きたいという思いで、不正を排除する仕組みがなかったのが最大の問題。お金を扱うものはセキュリティーを厳しくするよう検討していく」

ここから続き

 ――昨年5月にりそな銀行で…

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