トランプ氏お墨付きの陰謀論 「影の政府」の幻を追った

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ワシントン=沢村亙
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 米国政治で熱を帯びるのは、大統領選だけではない。11月3日には、連邦議会の上下両院から州や郡のレベルまでさまざまな選挙が実施される予定で、現在はそれに向けて共和・民主両党の候補選びが山場を迎えている。

 8月上旬、ちょっとした衝撃が米政界に走った。

 ジョージア州の連邦下院選挙区の一つで、新顔のマージョリ・テイラーグリーン氏が共和党の予備選に勝利し、公認候補に選ばれたのだ。テイラーグリーン氏はかねて陰謀論集団「QAnon(Qアノン)」に賛同を表明し、イスラム教徒である民主党の女性下院議員を指して「わが政府をイスラム教徒が侵略している」と攻撃するなど、過激な発言で物議を醸してきた人物だ。この選挙区はもともと共和党が強い地域で、共和党候補に選ばれた以上は、本選での当選がほぼ確実視されている。

 QAnonの「Q」は、2017年にネットの匿名掲示板に登場した、正体不明の投稿者。「米国の政財界や主要メディアは『ディープステート』(影の政府)に牛耳られており、それに闘いを挑む救世主に選ばれたのがトランプ大統領である」と主張する。その内容は荒唐無稽だが、SNSを通じて急速に賛同者が増え、18年の中間選挙ではトランプ氏の遊説先などで「Q」の文字をあしらったTシャツ姿の支持者が目立つようになった。

当時のQAnonの主張内容や、賛同者の素顔については、下記の記事をお読みください。

「ディープステート」の著者に聞く

この記事の後段には、陰謀論を深く検証した書籍「ディープステート」の筆者インタビューも掲載しています。

 その後も、QAnonの賛同者の間で「反トランプ派が児童売春にかかわっている」「トランプ氏を攻撃するたくらみがある」など、人々を扇動しかねない陰謀論が流布されていることから、連邦捜査局(FBI)は「国内テロを引き起こす脅威がある」と警戒対象にしたと報じられた。フェイスブックは8月、QAnonに関連する790のグループを「暴力を扇動する」と削除した。

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■トランプ氏の驚きの行動…

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