列車は1時間後、じっくり味わう駅そば 只見線の秘境駅

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高橋俊成
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 新潟県中部の米どころ・魚沼地域から越後山脈を横断し、福島県会津若松市まで続くのが、景観の美しさで知られる只見線だ。福島県境に近い奥山の駅、大白川駅(新潟県魚沼市)の発着列車は1日に上下計7本。2007年度の乗車人員は1日平均9人で、JR東日本新潟支社によると、利用客があまりにも少ないため、その後は統計がないという。

 ところが、そんな秘境駅に、休日になると、人の列ができる。「トン、トン、トン」。謎のヒントは、駅舎2階の「平石亭」から聞こえてくる小気味良い音。県内外からやって来る客の目当ては、地元の恵みがたっぷり詰まった手打ちそばだ。注文が入る度、店を切り盛りする浅井守雄さん(65)がそばを切る。しっかりした香りがあり、のどごしも良く残暑にぴったりの味わいだ。

 「山奥まで来た価値があった。あの香りはここでしか味わえない」と、新潟県長岡市から車で訪れた野本敏子さん(73)。新潟駅から列車を乗り継いできた大学生の男性(24)も「初めて降りて食べたが、とてもおいしかった」と、帰りの列車まで1時間以上の待ち時間も苦にせず笑った。

 「お客さんが喜んでくれること。それが一番のやりがいです」。駅近くで暮らす浅井さんは、幼い頃に、いろりを囲んで食べた父のそばの味が忘れられず、独学でそば打ちを覚えて03年に開店した。

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 材料は地元産にこだわる。朝…

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