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「子どもの前でDV」急増、児相業務を圧迫 AIで分析

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編集委員・大久保真紀
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 子どもの前で、親が配偶者に暴力を振るう「面前DV(家庭内暴力)」への対応が、児童相談所の業務を圧迫している。面前DVは子どもにとって心理的虐待にあたり、警察が把握した場合は児相に通告しなければならないためだ。最近5~6年でこの通告が急増しており、虐待に対応する児童福祉司の人数が現状では数千人規模で不足しているという。

 花園大学の和田一郎教授(子ども家庭福祉)が、政府の統計や、省庁や自治体の調査報告書などのデータ約400件をAIで分析、解析した。結果をまとめた論文は、日本子ども虐待防止学会の学会誌9月号に掲載された。

 厚生労働省によると、2018年度に全国の児童相談所が対応した虐待は15万9838件。そのうち心理的虐待が8万8391件と最も多く、55・3%を占めた。そのほかは、身体的虐待4万238件、育児放棄2万9479件、性的虐待1730件だった。13年度と比べると、全体の対応件数は2・2倍に増え、なかでも心理的虐待は3・1倍と急増している。

 和田教授の論文によると、児相への面前DVの通告は、17年時点で年間約6万件と推計されるという。そのうち通告後4カ月の時点でもDVが続き、危険な状態とされるケースは年間300~400件あると推計された。

■「現実的なシステム、早急に…

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