韓国の歴史教科書6年ぶり改訂 生徒が感じた政権の都合

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ソウル=鈴木拓也
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 韓国で高校の歴史教科書が今春、6年ぶりに改訂された。近現代史の割合が7割に増え、朴槿恵(パククネ)前政権を退陣に追い込んだ2016年の大規模デモや18年の南北首脳会談など直近の出来事まで網羅する。保守か進歩(革新)かで史実の評価も大きく分かれる韓国現代史。歴史教育と政治をめぐって論争も起きている。(ソウル=鈴木拓也)

南北首脳会談をどう書いた

 火がともったロウソクを手にする少女の絵が描かれた表紙の教科書。ページをめくると「ロウソク集会」の写真が2ページにわたって掲載され、「ロウソクの火が民主主義を照らした」とある。

 ロウソク集会とは、汚職などのスキャンダルが続いた保守の朴前大統領を弾劾(だんがい)訴追・罷免(ひめん)に追い込んだ16年のデモのことだ。翌年に政権交代を果たした文在寅(ムンジェイン)大統領が自身の進歩政権の「基盤」と言う「ロウソク革命」を、3月に発行された8社の教科書はすべて写真付きで取り上げる。「教科書の内容はその通りに覚えないといけないけど、現政権に都合良く作った感じがする」。歴史や時事問題が好きなソウルの高校1年の男子生徒は、そんな印象を受けたという。

 韓国の歴史教育は、今の大韓民国の成立の経緯などをふくめて、近現代史の学習を重視する。もともと高校の歴史教科書は近現代史の比重が高く、日本統治時代を中心とする近代史と、植民地支配から解放され南北に分断された後の現代史が半分を占めた。今回は7割とさらに増え、ここ数年の出来事の記載も目立つ。

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 その一つが18年に板門店で…

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