がん解明 もがき続ける 基礎研究に携わり40年 秋田

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曽田幹東
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 日本人の2人に1人がなり、3人に1人がそれで死ぬと言われる「がん」。宮城県立がんセンター研究所長の島礼(ひろし)さん(64)は、がんの仕組みを解明し、治療につなげようと、基礎研究に没頭して40年近くになる。

 実家は祖父の代から秋田市で医院を営む医者一家。父も兄も医者だ。物心つく頃から自分も医者になると決めていた。秋田大の医学部生のとき、「目の前の患者の後ろにいる1千万人の患者を治したい」と、研究者になることを決めた。院生3年目、国立がん研究センターの研究職の募集を目にし、28歳で東京に飛んだ。半年間の短期契約だったが、見込まれて結局11年間過ごした。

 新薬につながった成果もあった。PARPという酵素がDNAの修復に重要な役割を果たすことを突き止めたのもその一つだ。この発見を土台に、後にPARPの働きを止める薬が開発された。DNA修復に異常が起こったために発生したがん細胞は、さらにPARPの働きを止めると、DNA修復が完全にストップしてしまい、がん細胞自身が死に至るのだ。その薬「オラパリブ」は、2018年から国内でも一部の乳がん患者らが保険で使えるようになっている。

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