門外不出のもやし、目指せ増産 一子相伝の技が若手に

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林義則
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 青森県大鰐町で門外不出の在来種として受け継がれ、温泉熱や温泉水を活用して栽培される伝統野菜「大鰐温泉もやし」の栽培に挑む若手生産者が、相次いで誕生している。この6年間には、一子相伝だった先人の技を学んだ4軒の農家が生産に取り組み始めた。今春には国が地域固有のブランドとして保護する「地理的表示保護制度」(GI制度)に登録され、冬と春の半年間だった栽培の通年化も本格化。後継者不足を乗り越え、さらなる増産と販路拡大をめざす。

 温泉街にほど近い山のふもとに町が整備した栽培施設。軟らかい黒土に掘られた「沢」と呼ばれる溝いっぱいに育った大鰐温泉もやしを、同町の栽培農家、八木橋祐也さん(32)が慎重な手つきで収穫し、一束一束、丁寧に素早く土を落としていく。「もやしは収穫後も生きている。光合成で伸びたり、緑色になったりしないよう、とにかく早く、早くです」

 大鰐温泉もやしは、350年以上前から地域に受け継がれてきた伝統野菜。門外不出の在来種「小八豆」を冬の間、「沢」の周りの配管に通した温泉熱で約30度に暖めた土や温泉水を使って栽培する。長い栽培の歴史を通じて選抜された小八豆が生み出すシャキシャキとした歯ごたえに加え、濃いうまみや甘さ、受け継がれた栽培技術が支える品質が県内外で人気を呼び、生産が追いつかない状況が続いていた。

 そこで、町と大鰐温泉もやし組合、まちづくり会社「プロジェクトおおわに事業協同組合」は2016年に「大鰐温泉もやし増産推進委員会」を設けるなど、協力して増産や後継者育成に取り組んできた。

 八木橋さんも、新たに栽培を始めた若手生産者の1人。10年から一子相伝の技術を受け継ぐ生産者のもとで栽培の基礎を学び始め、4年後に生産を本格化。その後も新たに栽培を希望する若者が続き、計4軒の農家が誕生した。

 そして今年は、本格的な大鰐温泉もやしの通年販売に乗り出した。これまで11月~翌年5月だった栽培期間の通年化に乗りだし、年間20~25トンだった生産量の30トンへの増産をめざす。

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 ただ、繊細な温泉もやしの年…

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