ライチョウ復活、成功の兆し 中央アルプスで3家族生息

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近藤幸夫
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 中央アルプスで半世紀前に絶滅したとされる国の特別天然記念物・ライチョウの「復活作戦」が成功しつつあることが28日までにわかった。8月初めに放鳥した3家族すべての生息が確認できたほか、2年前に飛来が確認されたメス1羽が1家族に合流したことも判明。環境省はヒナが親離れする10月まで生息調査をし、来年の繁殖に備える。

 「いました!」

 25日午後1時半、長野県南部、木曽駒ケ岳(2956メートル)頂上近くの登山道から約100メートル下のハイマツ林にいた中村浩志・信州大名誉教授が大声で叫んだ。成鳥のメス2羽とヒナ6羽の群れだった。母鳥の足輪の色から最初(8月3日)に放鳥した家族全7羽が含まれているとわかった。

 中村さんが驚いたのは、足輪のない成鳥の存在だった。復活作戦のきっかけとなったメスだ。

 このメスは2年前に確認され、北アルプスから飛来した個体とわかっていた。環境省は今年、大町山岳博物館(長野県大町市)など4飼育施設から搬送した有精卵とメスが産んだ無精卵の入れ替えに成功したが、孵化(ふか)直後のヒナ5羽がニホンザルに巣を荒らされて全滅。メス自身はその後、生存が確認された。

 そのメスが群れの中にいたのだ。中村さんは「本当によかった。満額回答以上の結果」と喜んだ。「たった1羽で中央アルプスの厳しい冬を乗り越えてきたメスは、合流した家族に新天地で生き抜く方法を教えてくれるはずです」

 4日前の21日には環境省の職員が、この家族がいた場所の近くで別の家族全5羽(母鳥1羽、ヒナ4羽)の生存を確認していた。残りの1家族(7羽)も直線距離で約1キロ離れた伊那前岳周辺に生息していることが登山者の目撃情報で確認されている。

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 ライチョウは孵化後、翌年に…

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