ノストラダムス、「現代版」はシンギュラリティー?

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聞き手・滝沢文那
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 「ノストラダムスの大予言」で知られる作家の五島勉さんが6月に亡くなった。16世紀のフランスの医師・占星術師、ノストラダムスの予言集を解釈し、「1999年7月、人類は滅亡する」とした同書は、1973年に刊行され、250万部の大ベストセラーに。終末を迎えるとされた99年から20年が過ぎ、「予言」の賞味期限は切れたのか。宗教学が専門の岡本亮輔・北海道大学准教授は、「シンギュラリティー」が「ノストラダムスの現代版」と語る。

 ――「ノストラダムスの大予言」は、社会や宗教の関係に着目すると、どのような時代状況の中で生まれたのでしょうか。

 やはり、1970年代から80年代の「精神世界」ブームとの関連で考えた方がいいと思います。

 「精神世界」は、翻訳・書籍文化でした。60年代から70年代初頭にかけて欧米でニューエイジ運動が始まります。既存の宗教に対抗しようとするものでした。これが徐々に日本にも輸入され、70年代末に「精神世界」という言葉が生まれます。

 ノストラダムスも日本人には一切関係のない、近世のフランス人ですよね。しかし、瞑想(めいそう)や超能力にひかれる「精神世界」ブームを背景にその予言が受け入れられた。

 五島さんはおそらくあれで一発当てようなんて考えていなくて、ライターとして版元の要請に応えて書き上げたんだろうと思います。

 ――オウム真理教にも影響を与えたと言われます。

 そもそも、オウム真理教自体がオカルト文化の中から出てきた宗教です。ノストラダムスだけではなくて、チベット仏教などの様々な宗教や雑誌の「ムー」とか「トワイライトゾーン」で扱われるようなものを組み合わせて、独自の教義体系や教え、実践を作っていった。これを宗教的ブリコラージュ(器用仕事)と言います。ニューエイジ全般の特徴です。

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 ノストラダムスは一般に広く…

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