約7年8カ月に及ぶ最長政権を達成しながら、直後にまさかの辞任表明。新型コロナ対応に批判も多かったが、安倍晋三首相の政治手法や政権運営をどう評価すればいいのか。政治学者の奈良岡聰智・京都大学大学院教授に、安倍政権の幕引きのありようについて聞いた。
1次政権の辞任と相似形
今回の辞任劇は、2007年の第1次安倍内閣時の辞任に近い形ではないか、と考えます。
首相の病状の詳細はまだ伝わってきてはいませんが、好意的に見れば、国政を停滞させないため、出処進退を自ら決めた、と言えなくもありません。
たとえば、やはり病によって潔く首相の座を降りた石橋湛山は、政治的停滞を招かないため、自分の政治的良心に従って辞任する、と述べました。石橋の後継首相が安倍首相の祖父の岸信介ですが、「政治的良心」という政治史に残る名言に安倍首相も従った、という見方もあるかもしれません。
しかし、今回の辞任表明は体調悪化と同時に、安倍首相自身が政権運営への意欲を喪失したからではないか、と私はみています。
重なる近衛首相の姿
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体調悪化がどこまで影響した…
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