豪雨で20万匹失った養殖アユ業者、残る8万匹で再起へ

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松本江里加
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 熊本県の人吉・球磨地域を代表する味覚、アユ。体長の大きい天然の「尺アユ」で知られるが、その養殖技術を磨き、観光客らの舌を喜ばせてきた地域唯一の養殖業者がいる。7月の豪雨で被災し約20万匹を失ったが、食文化を守ろうと、再起をめざす。

 熊本県相良村柳瀬。ダム建設の是非で注目され、清流としても知られる川辺川のほとりに、生駒水産のアユ養殖池はある。取締役の生駒泰成さん(56)は被災から1カ月がたった8月初め、池の底にたまった細かい泥を流す作業をしていた。積もった泥のほとんどをかき出し、再び水を張るまでこぎ着けた。

 養殖池には近くの湧き水を引いた。その水でつくった水流を泳がせ、動物性たんぱく質が多めのエサを与えるなど、50年にわたって工夫を重ねてきたという。香り高く身が引き締まり、「天然よりおいしい」と自負する。人吉市と球磨郡で唯一の養殖業者で、年間約40万匹を稚魚から育てて地元の旅館や飲食店に卸しており、良質の生アユが安定して手に入ると頼りにされていた。

 だが、雨が激しく降り続いていた7月4日早朝、川辺川が氾濫(はんらん)。午前9時ごろには、泥水が腰の高さほどまで達した。

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 生駒さんは倉庫の2階に逃れ…

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