残業しても残業じゃない? 変形労働時間制の狙いと課題

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榊原謙
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 ほかの時期に労働時間を減らして穴埋めすれば、残業代などを払わずに働き手に長時間の勤務をさせられる「変形労働時間制」を導入する職場が増えています。人件費の節約や休日の固め取りなどにつながる一方、働き手が長時間労働に陥りやすいことへの懸念は根強く、導入の手続きがずさんだと裁判で無効と判断されるケースもあります。

 労働時間の上限は、原則として「1日8時間、1週40時間」と法律で決まっている。これを超えて働かせる場合、あらかじめ労使で協定を結び、超えた分の残業代などを払う必要がある。

 この縛りを、一定の条件のもとで外すのが変形労働時間制だ。

 たとえば、ある日の労働時間が8時間を超えても、逆に労働時間が短い日を作るなどして超えた分を吸収すれば、時間外労働をしたことにはならない仕組みだ。1カ月・1年など一定の期間をあらかじめ定め、その期間全体でみたときに、1週あたりの平均労働時間が法定の40時間以内に収まっていれば、残業代を払う必要はなくなる。

 制度の原形は1947年からある。お中元シーズンや年末が忙しいデパートのように、時期による繁閑や営業時間が比較的はっきりしている業種での適用が想定されている。会社の人件費負担の緩和だけでなく、忙しい時期に長く働くかわりに他の時期に休日を増やせば、全体としては労働時間を減らせるとの期待もある。

目立つ学校現場での導入

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 ただ、そもそも1日8時間を…

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