来日できぬ実習生、地方の介護に崩壊の危機 競争も激化

有料記事

山中由睦
[PR]

 新型コロナウイルス対策の入国制限が続いている影響などで、外国人技能実習生が来日できず、各地の介護施設で人手不足が深刻化している。急速な高齢化により介護需要が増す中で、実習生に頼る地方の施設では、「長期化すれば地域の介護が崩壊する」と危機感を募らせる。国は他業種で働く実習生の活用を図るが、効果は出ていない。(山中由睦)

中国人8人を採用、1人も来日できず

 琵琶湖の北端にある滋賀県長浜市社会福祉法人「まんてん」が5月に開所した介護施設を訪ねると、デイサービスなどに使う1階部分はがらんとし、2階のグループホームの数部屋も使われないままだった。担当者は「希望者は多いのに介護スタッフがおらず、受け入れられない」と嘆く。

 「介護は大変とのイメージが先行し、人気がない」と山田一之理事長(65)。正規職員の確保が進まず、外国人技能実習生に期待し、中国人8人を採用。今年1月から働く予定だったが、新型コロナの影響で1人も来日できていない。

 長浜市によると、特別養護老人ホームの入居待ちは昨年4月時点で市内では数百人にのぼるという。

 青森県を中心に特別養護老人ホームやデイサービスなどを運営する社会福祉法人「楽晴会」も、4月から働く予定だった10人のバングラデシュ人実習生について来日のめどが立たない。

 施設がある同県三沢市では高齢化が急速に進む。国内の15~64歳の生産年齢人口は25年後に約25%減る見込みだが、同市では4割近く落ち込み、働き手は減る一方だ。400人弱いる同会の介護職員には70代の高齢者もおり、毎年10人ほどが定年退職する。

 斉藤淳理事長(60)は「実習生を安定して確保しないと持続的な運営はできない。コロナ禍が長期化すれば、地方の介護はやっていけない」と話す。

ここから続き

 厚生労働省の試算では、20…

この記事は有料記事です。残り976文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら