村上春樹も魅了した讃岐うどん ブームに火をつけた一冊

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河村克兵
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 田んぼの隣や、山あいにあるうどん店に人が押し寄せ、行列ができる。1990年代後半から続いた讃岐うどんブームで、そんな光景が香川県のあちこちで見られるようになった。火をつけたのは、タウン誌が掲載し、本にまとめたうどん店探訪記。全国のご当地グルメ関係者にも影響を与えた、店巡りの楽しみとは。

 納屋のような店構えのうどん店に、上下ジャージー姿の年配の女性が入ってきた。手に2本のアスパラガス。「ちょっと、これ揚げて」。アスパラの天ぷらと、しょうゆをかけたうどん1玉を食べ、65円を払って出ていった。

全国から多くの人が訪れた

 タウン誌『月刊タウン情報かがわ』編集長だった田尾和俊さん(64)=現四国学院大教授=は1988年、高松市郊外の製麺所兼うどん店に連れられ、目にした光景を振り返る。「店も客もあやしくて、面白い」。もちろん値段は安く、おいしい。

 「こんな店が何軒もあるなら、グルメ情報というより、そこを訪ねる『レジャー』として伝えよう」。タウン誌で穴場うどん店の探訪記「ゲリラうどん通ごっこ」を連載開始。自ら筆をとり、軽妙な語り口で店を紹介していった。

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 読者の中高生が掲載店を自転…

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