介護に疲れ25歳年上の妻を殺害 男が裁判で語った後悔

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小手川太朗 田中基之
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 独身の中年男は、焼き鳥屋で出会った25歳年上の女性と恋に落ちた。結婚もし、20年近く幸せな生活を送ってきたが、妻は老い、病を患った。介護の果てに生活苦も重なり、将来を悲観した男はついに、最愛の相手に手をかけた――。

 8月17日に福島地裁郡山支部であった裁判員裁判の初公判。身長165センチで短い白髪頭の男(64)が青いジャージー姿で背中を丸めて入廷した。裁判長から起訴内容について問われ、「間違いありません」と淡々と答えた。

 男は2019年10月27日午前3時15分ごろ、福島県郡山市の自宅マンションで、就寝中の妻(当時88)の首を電気毛布のコードで絞めて殺したとして、殺人罪で起訴された。

    ◇

 検察の冒頭陳述や被告人質問のやりとりなどから、事件の経緯をたどる。

 男は1956年、郡山市から南西に約10キロ離れた旧岩瀬村(現須賀川市)で生まれた。中学を卒業してから、ガラス繊維を製造する郡山市の工場でずっと働いていた。20代、30代と独身だった男にとって、楽しみは日帰り温泉とパチンコ、そして仕事帰りの一杯だった。

 40代半ばになった2001年のある日、いつもと同じように1人でJR郡山駅前の焼き鳥屋に入った。カウンターに座って酒を飲み始め、しばらくして隣の席に座ったのが妻になる女性だった。

 当時、女性は70歳近く、男とは親子ほどの年の差があった。それでも会話は途切れることなく盛り上がり、意気投合した。店を出ても話は尽きず、男はそのまま女性の家に行った。

 女性には一人息子がいた。父…

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きょうも傍聴席にいます。

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