反トランプで結束、その後は バイデン民主、熱狂の影に

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ウィルミントン=園田耕司 ワシントン=香取啓介
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 「暗闇から光へ」――。11月の米大統領選に向け、民主党の候補となったバイデン前副大統領は20日の指名受諾演説で共和党のトランプ大統領を倒し、政権を奪還する決意を語った。民主党も、革新派から穏健派までかつてないほど結束を見せている。ただ、「反トランプ」を超えた一致点はなかなか見いだせない。(ウィルミントン=園田耕司、ワシントン=香取啓介)

 「光を与えれば、人はおのずと道を見つける」

 米東部デラウェア州ウィルミントンのコンベンションセンターで、まばらに座る記者を前に演説を始めたバイデン氏は冒頭、黒人の公民権活動家、エラ・ベーカー氏の言葉を引用した。

 演説を通じてバイデン氏が訴えたのは、米社会の分断をあおってきたトランプ氏の「闇」だ。「現在の大統領はあまりにも長く米国を暗闇で覆い、多くの怒りと恐怖と分断を生み出した」と強く批判。トランプ氏の「怒りと絶望と分断」に対し、自身は「癒やしと再生と連帯」を目指すと語った。

 米社会が直面する「四つの歴史的危機」としてバイデン氏が挙げたのは新型コロナウイルスの感染拡大、不況、人種差別、気候変動。その中でも特に、新型コロナ対応でトランプ政権を激しく批判し、「現在の大統領はこの国を守るという最も基本的な義務を果たし損ねた。許されないことだ」と力を込めた。自身が大統領に就任した場合は、最初に取り組むのは新型コロナへの対応だとして、検査や医療装備品の拡充、全米でのマスク着用の義務化を進めると表明。「私は米国を守る」と強調した。

 約25分間の演説でバイデン氏はトランプ氏への批判を重ねたが、常に「現在の大統領」と呼び、トランプ氏の名は一度も口にしなかった。4年前に大統領候補としての指名受諾演説で、トランプ氏の名前を連呼したクリントン元国務長官とは対照的な手法で、トランプ氏に照準を合わせつつ、自らの前向きなメッセージをアピールしようという思いがにじむ。

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