戦時中と地続きの精神土壌 生活図画事件追う若き写真家

有料記事戦後75年特集

斎藤徹
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 戦争中に日常生活を絵画で表現しただけで北海道の学生らが弾圧された「生活図画事件」。その被害者である老人の日常生活を、若き写真家が記録してきた。「自由」とは何か。コロナ禍の世に問う。

重なって見えた「共謀罪」法と治安維持法

 旭川市民ギャラリーで開かれている写真展「A RED HAT 赤い帽子」。

 朝起きてカーテンを開ける、ひ孫と公園を散歩する、キャンバスに向きあい絵を描く、風呂に入り目を閉じる――。事件で投獄された菱谷良一さん(98)=旭川市=と松本五郎さん(99)=音更町=の日常生活の一コマをとらえる。

 撮影したのは東京都在住の写真家、高橋健太郎さん(30)。「当たり前の日常を送っていたふつうの人が、ある日突然思想犯に仕立てられ、自由を奪われてしまう怖さを、皮肉を込めて表現した」

 高橋さんが事件を知ったのは、2017年6月。犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が成立する直前のことだ。

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