米経済、コロナからの回復「K」字形? 広がる格差懸念

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ニューヨーク=江渕崇
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経済インサイド

 新型コロナウイルスの感染者・死者とも世界最多の米国で、雇用の回復が鈍っている。約3千万人が受け取っている失業保険は、8月から給付額が激減。暮らしに行き詰まる人が急増しかねない一方、株価は最高値を更新し続けている。コロナ禍からの回復は、「持たざる者」の苦難だけが深まる「K字形」の様相を強めている。

 新型コロナ感染の「第2波」が襲っている南部ルイジアナ州。中心都市ニューオーリンズに住むエリン・アンダーソンさん(24)は、ホテル内にあるレストランの給仕の仕事を3月に失い、無職が続く。法律事務所などへの再就職を試みて何度か面接にこぎ着けたものの、「コロナ禍が収まるまで雇えない」などと言われた。

 州から受け取れる本来の失業保険は週247ドル(約2万6千円)。これでは月640ドルの家賃や学生ローンの返済、光熱費や食費を賄いきれない。3月に米議会とトランプ政権がまとめたコロナ対策で、失業保険への週600ドルの一律上乗せが決まった。失業保険だけで月に約3400ドル(約36万円)が支給され、おかげで暮らしを維持できた。

 上乗せはもともと7月末が期限だった。野党民主党は5月、多数を占める下院で3兆ドル規模の追加対策を可決。その中で、600ドルの上乗せを来年1月まで延長することも盛り込んだ。

 しかし、与党共和党は、寛大な給付は再就職へのやる気をそぐと主張。期限切れ直前の7月27日になってやっと、増額幅を200ドルに減らす対抗案をまとめた。協議はまとまらず、あっさり期限が切れた。

 これを受けてトランプ大統領…

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